
はるか古から、1980年代に至るまで男女の結婚を縛っていたのが、イエ神話です。これはほとんどの場合、親の一方的な都合でした。孫の顔が見たい、家の跡継ぎが欲しい(男の子限定)、老後の面倒を見て欲しいなどです。
子供である息子・娘は、こういった親の都合や期待に「ある程度まで」応える形で結婚していきましたし、実際にそれは結婚へのインセンティブになっていました。
一方で、少子高齢化を背景として、2000年に介護保険制度が導入されます。制度そのものは社会福祉目的ですが、これによって大きな意識の変化が起こります。すなわち、ゆりかごから墓場までの面倒を見る装置としてのイエ制度がアテにならないものになって、老人の面倒は社会が共同で面倒を見るものだということになります。
これから老いていく人たちは、息子やヨメに老後の面倒を見てもらおうというのは贅沢なことであって、子供には子供の人生があるというある意味当たり前の事実が明らかになります。
かくして、結婚制度、ヨメ制度、イエ制度は時間差で緩やかに消えていき、結婚は「両性の合意のみに基づく」とする憲法の定めが文字通りに実現します。そしてそれは結婚を望む人にとって必ずしも楽なことではなく、自分の力でで結婚相手を探さなければならない大変な時代に入ります。